約 3,408,665 件
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3103.html
ザッバ~ン、と勢い良く音をあげて《兄鬼》が水底から一気に飛び出した。 連続では無いが最終的に100周した所で、彼はようやく満足したらしい。 巨漢の漢がいきなり飛び出してくれば、多少は驚く人間がいる筈だが1つの反応も無い。 「如何いう事だ? ……人が居ない?」 プールから上がろうと、プールサイドに手を付けた《兄鬼》も周囲の異変に気付いた。 そう、人影が全くと言って良いほど見えないのだ……、終了時間にはまだ早いのに。 これはつまり、何らかの異常事態が起きたのだと考えるべきだろう。 《兄鬼》の視界には居ないが、都市伝説関係者が数人いるのだが、一般人が居なくなった時点で異常事態には違いない。 だから《兄鬼》も、周囲の気配を探る事にした。 強者を求める彼は、それ故に戦いの気配に鋭い。 「―――戦闘が起こって居るな。成る程、一般人を避難させたわけか」 離れた場所で戦いが起こっているのを察し、《兄鬼》は現状を大体理解した。 良く見ると、プールから人が出て行くのを確認できた。 (しかし何者だ、こんな場所で騒ぎを起こすなど) 確認してみるか、そう呟き《兄鬼》は気配のした場所まで行くことにした。 実の所は、変態達が馬鹿やって粛清されているだけなのだが、それを知る由も無い。 自分に害が有るのか判断するためには、自分で確かめるのが一番と言う訳だ。 「うーむ。リムとウィルを帰したは良いが、シェイドの奴はコレだしな」 「オイ、コレトハ何ダ。貴様ガ、ヘマヲシタノガ原因ダロウ」 「だから、喋んなって言っただろ!」 少年と海パンが、コントをしている。 普通に見れば馬鹿だが、海パンが実際に喋っているのだから問題は無いのかも知れない。 何故、海パンが喋るのか、実は海パンでは無く《シャドーマン》と言う都市伝説が、姿を変えているだけなのだ。 そして少年は、シェイドと名を持つ彼と契約している黄昏 裂邪。 中学生と言う若さにして、4つの都市伝説と契約している。 「それで、如何するんですか? ごしゅじんさま」 裂邪の傍に控えていた少女が、彼に尋ねる。 彼女もまた、裂邪と契約している都市伝説だ。故に、「ごしゅじんさま」も可笑しくない。 特殊なプレイをしているのでは無いのだ。 「そうだな。ミナワを変態共に近づかせたくないし、退いておこう」 「良いんでしょうか?」 「さっきの見ただろ。あんなスゲェ人が居るなら大丈夫だって、むしろ邪魔しないようにさ」 戸惑い気味に言うミナワに、裂邪がプールサイドの焦げ跡を見ながら言う。 それは、熟女狙いの水霊が秀雄のブレスで滅された所で、その光景を裂邪はしっかり見ていた。 裂邪に倣って、焦げ跡を見たミナワも納得したような半笑いを浮かべた。 「言われてみれば、そんな気もしますね」 「ウム。アノ男ノ以外ニモ、強力ナ契約者ガ居ルダロウシナ」 「喋んなって……、いや。シェイド、体生やす事って出来ないのか」 「ム? ヤッテミヨウ」 シャドーパンツ状態のシェイドが、ニョキリと体が出て裂邪の横に頭を並べた。 シェイドがいきなり出て来た事に驚いたミナワは、足を滑らせてしまう。 よりによって、水の近くに………。 そして、その隙を見逃す変態では無かった。 「ヒャッホウ!! ロリっ子来たー!」 「ミナワ!」 後ろから叫んで飛び掛かろうとする変態を見て、裂邪が声を上げる。 この後にあるのは、水着を奪われたミナワの姿……その筈だった。 しかし、 「兄気闘法――絶技、弾手澄!!」 「のわぁーーー!」 聞こえた声と共に真紅の塊が飛来して、ミナワに襲い掛かった水霊に当たって吹き飛ばした。 突然の事に、裂邪もシェイドも何が起きたのか分からなかったが、反射的にミナワを抱き寄せ水辺から遠ざける。 そして、声のしたと思われる方を見ると。 「目に留まったので助けたが、事情が分からんのでな。説明して貰えぬか? 強者の可能性よ」 正拳突きの構えから姿勢を正した、真っ赤な気に覆われた漢が其処に居た。 続く
https://w.atwiki.jp/legends/pages/114.html
今日は都市伝説との戦いはない。久々に平凡な一日が送れると思ったら爺さんに連れ出された。 なんか「馴染みの店に連れて行ってやる」だとか。ハンバーグ屋の匂いしかしないが…行ってみよう… 「『レストラン うわさの産物』…よくわからんネーミングセンスだな」「都市伝説にはぴったりの名前じゃろ?」 ……その関連の場所なのか…なんでこんな近代的な店が馴染みなのか不思議ではあったがそういう訳かい。 ギィイィ… レストランにはふさわしくない西洋の城のようなドアを開けると、いたって普通の店が広がっていた。 「おーぅい、来たぞー」「いらっしゃーい。…おぅ、ハンバーグの爺さん。それと…契約者さんか」 中にいたのはいたって普通のお兄さん。なんかこう…もっと牛頭人間とか出てくるのかと思っていた。 「で、なんじゃ?今回の用件は」「あぁ、それなんだが…今ちょっとあいつ外出てっからさ、もうちょっとあとで頼む」 他にもだれかいるってことか?じゃぁそいつが牛頭人間…?「なぜお主は牛頭人間ばかりに話が行く」 「ところで、今度店で新作のハンバーグ出そうと思っててさ…味見頼むわ」「……わしの採点は厳しいぞ…店長よ…」 おぉ、ハンバーグ爺さんの本領発揮か!? …… 「……ひどいだろ……考えに考え抜いて作った『つくばぁぐ』なのに…7点て…」「いや普通のハンバーグだろjk」 店長自慢の『つくばぁぐ』なるものはいたって普通のハンバーグに変なロボットの焼印が押されているだけのハンバーグだった。 「…それになんじゃこの肉は!変な味がするぞ!」しかも俺にわかるくらい変な味がする。 「都市伝説的にミミズ肉使ってみました☆」 「おいそれ先に言えよ」「わしの零式ドロップバーグを食らいたいのか?頬が落ちるぞ」 「おっと、あいつが帰ってきたみたいだ」おいスルーすんなよ。爺さんちょっと落ち込んでんじゃねーか… 「…?帰ってきた?誰も店には入ってきてないじゃん」「いや、帰ってきてるよ。俺の契約したのが」 …契約?つまりこの店長も都市伝説の契約者ということか? 「おんや?なんで出てこんのじゃ?いつもならすぐに出てくるじゃろうに」「まぁ、人見知り激しいからね。今日は見ない顔がいる」 そういって俺を指さして、「こいつはあれだ、ハンバーグの爺さんの契約者だぞ。怖い人じゃないから出てきてくれ、『こっちゃん』」 「……だからその名で呼ぶな」 呼ばれて厨房から出てきたのは普通の女の子。…狐耳、半透明、浮いてて物をすり抜ける、という点以外は。 「…えっと…あなたは?」「……いわゆる『こっくりさん』の類…」 はぁ、こっくりさん。実体ってこんな子だったのか。正直怖い話のイメージしかないから予想もしてなかった。 「この子とは小学校からの付き合いでねぇ。会ったのは…小3くらいかね?」「……君が…未来を知りたいって言うから…」 …店長とこっくりさんの馴れ初めを聞くこと30分… 「でまぁ、今はこうやって都市伝説の情報屋とレストランやりながら2人で暮らしてるってわけさ」「…はぁ」 「……不本意ながら…契約者とは一緒にいなければいけない…それが契約…」 「まぁそういう割には結構好きでいるように見えるがのぅ」「…そ、そんな訳ない。ミミズバーグでも食ってろ糞ジジイ」 「嫌々でもなんでもこんなかわいい娘が一緒にいてくれるならいいし。な、こっちゃん?」「か、かわいいとか言うな……あとその呼び方はするな…」 …なんだろう…店長がすごく憎たらしく感じる…こんないいツンデレ娘と契約しおって。ハンバーグぶち当ててやろうか。 「…そんなことより…今日は討伐依頼がある」「やっと本題かぇ。で、今回はどんな奴が暴れとるんじゃ?」 …また都市伝説と対決か。この前はダッシュ二ノ金を倒したばかりだってのに。 「今回はこいつ…『羊男』」 ―――『羊男』。とある大学の研究室で作られた羊頭人間。電極板をつけたまま脱走。 雨の日になると高校の校庭に出没し電極から放電を行い危険。感電被害者多数。 「…今回は一段と危険だな」「ああ…危険じゃ。かさジジイや二ノ宮像の数倍はな」 改造人間の類なら怪力は当然だとして、放電能力はかなりヤバい。へたすりゃ死ぬ。 「…で、報酬は何じゃ?」「びっくり○ンキー食べ放題5回分、って所かな」 おい!報酬微妙にしょぼいだろ!そんなんに命懸けてたm「よし、乗った!」…マジかよorz 「これで1カ月は食費が浮くわい」「そんなに浮くの!?」家では俺の作ったハンバーグめちゃ食う癖に。そのせいで俺夜いつも腹ペコなんだぞ。 ついでに言っておくがハンバーグ爺さんと契約すると「自分の食べた物のエネルギーを消費してハンバーグを作る」という能力。 「羊男は雨の日に現れる……そして次の雨の日は…明後日」「よし、明後日じゃな」 「あぁ、それと今回のカギだ。『け』ってでてる」 あぁ、そうか。こっくりさんは未来予知とかそんな能力だったっけな。「け」な。覚えとこう。 さぁ、決戦は…雨の日の高校だ! …しかしびっくりド○キー食うために命懸けて戦うとは…思ってなかったな… ……そういえばここレストランだったな。またいつか食いに来るか。 前ページ次ページ連載 - わが町のハンバーグ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/316.html
トイレの花子様 05 ~新章突入~ というわけで、夏休み。俺たちは学校のプールサイドにいた。 というのも、ここに敵が出るというのだ。ただ、機関のメイドさんいわく「弱いのか、サイヤ人みたいに気の大きさを変えられるのか分かりませんが、反応が微弱すぎるのと、まだ被害者がいないので敵の正体がつかめません」とのこと。 というか、そもそも敵かどうかも分からないので、その確認。もし害のある都市伝説なら駆除を頼みたいそうだ。 最初は「正体も分からないとか色々めんどい」と嫌がった花子様だが メ「機関の方で学校の無人化、プールの掃除と貸切を行います。半分遊んでかまいません。」 という一言で出撃が決まった。意外とこういうの好きなんだなーとしみじみする。 しかし俺にはある不安があった。それはおいおい分かるだろう。 真夏のプールサイド。そこに悪魔がいた。とんでもなく凶悪な悪魔。 花「ほら、ボーっと突っ立ってないで早くしなさい!」 花子様は多分まったくそいつに気づいていない。このままでは非常にヤバイ。 花「聞こえてるの?さっさと飛び込んで犬掻きでもして都市伝説を誘い出しなさい。」 俺の理性を刈り取り、消滅させようとする大悪魔、水着姿の花子様が呼ぶ。 このままでは俺の股間の棒が突っ立つ…飛び込むしかあるまい、隠すために。 ザパンと飛び込み浮上すると、飛び込み台に足を組んで座っている花子様が目の前だった。 花「ある意味私が悪いけど、お前、私の水着姿に欲情したでしょ?」 男「そそそそそそんなことはないです。」 花「私に女の魅力がないって言いたいの?」 と言い、左右反対に足を組み直す。このモモの動きたまらんね。 男「うそです!プールの中ではBINBINです!!」 花「正直でよろしい。」 と言ってその足で俺の頭を水につける。息が苦しいが悪くはない。 花子様も泳ぎ始める。まさに現代の人魚!生足魅惑のマーメイド!! ひとしきり遊んでから、一度プールから上がり、プールサイドで休もうとする。 花「ぅひゃうっ!!」 何今のすっげーカワイイ声…。見ると花子様の背中に虫がくっ付いていた。あー小学生時代によく見たなー名前なんだっけ? 花子様の白く澄みわたる肌にくっ付くなんてうらやましい。しかも水に塗れてエロい。 花「とりなさい。」 男「へ?」 花「早く取りなさい!首に重りつけて沈めるわよ!」 合法的に花子様に触れる…虫GJ!そう思って虫を除去する。 男「痛ッ!?刺された?」 ち、タダで花子様に触れられないってか?まあいい、等価交換さ。 花「いないわね、都市伝説。ガセネタだったんじゃない?」 男「まあ、プール使い放題だしいいじゃないですか。花子様の水着も見れるし。」 花「そうね、じゃあ私の水着の閲覧代としてもっとしっかり探して来なさい!」 そうだなと思い、再びプールに入ろうと立ち上がった時、違和感を感じた。だがそんなことよりプールサイドに向かわなければ。 プールに入ろうとした時、ズキンと右目の上に痛みが走る。そして思い出す、この状況を作り出す都市伝説を。 派生は色々あるが、水泳してる時に水生昆虫に刺されて時間が立つとその人は水場を求める。 産み付けられた寄生虫に思考を乗っ取られ、無我夢中で水場で目などをえぐったりかきむしったりして失明や失血死してしまう。そしてその傷口からは水を求める寄生虫が現れる。 だいたいこんなもんだ。 刺された時に気づくべきだった。浮かれて頭が回らなかった。 手が勝手に動き目をえぐろうとする。駄目だと気づけても止まらない。どうしようもない。 花「しっかりなさい!」 ひとまずトイレットペーパーで俺を縛り、目をえぐるのを防ぐ。が… どう戦えば良い?敵は俺の中だ。それも大きくはない。 花子様の顔にも焦りが見える。しかし、決意の表情で言う。 花「今からちょっと賭けをするわ。痛むかもしれないし、失敗したら恨んでくれて良いわ。」 そう言って花子様は俺の右目にキスをする。 軽く吸引力をかけながら、ちゅるっと音を立てながら眼球とアイホール(名前分からん)の間に舌を這わせる。 ちゅる…ぬちゅるる……ちゅ… 男「はっ…くはッ…」 痛くは無かった。むしろ快楽的であった。やがて異なる何かの異物感の後、花子様は離れた。 花子様の唇から、その唾液でぬらっとしたイヤラシイ光沢を持った細いミミズのようなのが、妖美に垂れ落ちた。 なんとか成功したらしい。 寄生虫を踏み潰す花子様。だけど… 男「仲間にしなくて良いの?」 仲間に出来たらしろ、そんな依頼だったはずだ。 花「危害を加えてきたから処分よ。 それに仲間にしてどうするのよ? 偶然悪い都市伝説がプールに来て、偶然虫を捕まえて、偶然刺されるのを、 ずっとプールで待つのなんていても仕方ないでしょ?」 まったくごもっとも。 男「とりあえず病院行きたい。」 メイドさんを呼び、【機関】の息のかかった病院にいく。結果、やはり異常は無かったが目薬をもらった。 メ「今回の都市伝説に関する報告は以上です。」 謎のボス「ふむ、今後も二人の距離を縮めるような敵を担当させろ。」 メ「かしこまりました。」 前ページ次ページ連載 - トイレの花子様
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1636.html
占い師と少女 マッドガッサー決戦編 04 ※Tさん 「マッドガッサーと愉快な変態達:vsヤンデレ弟」のその後、占い師一行視点 ○月×日 20:47 食堂前での戦いが始まってから十数分。 最後に戦っていた両者を閃光包み……閃光を操っていた都市伝説によって、「スパニッシュフライ」に操られていた少年は倒されたようだ。 これでマッドガッサー一味の戦力が減った事になる。 (……よかった) 「あちらさん、もう決着がついたみてぇだぜ」 購買から顔を出し、覗いていた大将が戻ってくる。 「……これで一安心ですかね?」 「いや……そうでもないみたいだな」 「……え?」 相変わらず食堂の方を透視し続けている占い師さん。 私もそちらを見ようとして―― 「先程から視ているようだが、……誰だ?」 ――その時、声が響いた。 「これ、って……私たちに向けられてますよね?」 「みたいだな。どうやらあいつら、こっちに気づいてたみたいだな」 透視をしてみると、あの都市伝説がこちらに手を向けていた。 ……場合によっては、あそこからまた閃光が炸裂することになるのだろう。 「どうするんだ、兄ちゃん」 「さて、どうしたもんかな……。幸い、相手方に敵意はないみたいだが」 「……でも、どう見ても攻撃態勢ですよね、あれ」 「なに、本気で殺しに来るならすぐにでも攻撃してくるさ。こっちの存在に気付いたはいいが、こちらがどっち側なのかは分からない……そんな所だろう」 そこまで話した時、再び壁の向こうから声がした。 「壁を透視できたら、幸せだ」 「…………ちっ」 占い師さんは軽く舌打ちをして、向こうに語りかける。 「こっちに敵意はない! そっちが攻撃しない限りこっちからも攻撃を仕掛けるつもりはないぞ」 「……ならどうして、壁にこちらの能力を阻害する『何か』がかけられてるんだろうな?」 「話し合いっつーのは顔を見てするもんだ。そちらさんからだけ俺たちが見えるってのは、何だか不公平だと思わないか?」 「………………」 「………………」 2人の間に沈黙が降りる。 会話には参加していない向こうの私たちも、そして恐らく向こうの残り2人も、ひどく緊張していた。 ……そんな均衡を、占い師さんが首を振って打ち消した。 「……全く、こんなのは時間の無駄だろうに。分かった、俺たちは購買から出てあんたたちの前に行く。あんたたちはその物騒な能力で俺らを攻撃しない。それでいいな?」 「そっちが攻撃を仕掛けてこないという保証はあんのか?」 「……その声は契約者の方か? 最初に言っただろ。そっちが仕掛けてこない限り、こっちからも仕掛けるつもりはない」 そう言って、占い師さんが立ち上る。 (……いいんですか?) そう目で合図を送る。確か、占い師さんは今回の騒動中に、できるだけ他の人や都市伝説との接触はしたくないはずだった。 「……仕方ないだろ。見つかった以上、下手に逃げればあいつらに敵だと思われる。これから先、またあいつらと会うかも知れない以上遺恨は残したくないからな……」 私たちだけに聞こえるようにつぶやき、占い師さんが私の手を引いて、立ち上がらせてくれた。 ……ほんの30分程度前に同じ事をされたはずなのに、何だかそれから随分経ってしまったような気がする。 「もしあいつらが攻撃を仕掛けてきた場合はすぐに逃げる。大将も、いつでも能力を使えるようにしといてくれ」 「任しとけ。たったの3人なら、どんに強い都市伝説でも気をそらすくらいはできらぁ」 立ち上がった大将と共に、購買の出口である扉に向かって歩き始める。 食堂前で戦っていた都市伝説達は最低限、マッドガッサーの敵ではあるはずだ。 敵の敵は味方……そんな法則が、ここでも生きてくれればいいんだけれど。 前ページ次ページ連載 - 占い師と少女
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4527.html
吸血鬼。それはドラキュラを筆頭に世界レベルの知名度を持つ都市伝説である。 少女はそんな吸血鬼の契約者だった。 「足りない……」 足元に転がる死体を見下ろしながら、少女は呟いた。 死体が誰なのか、少女は知らない。知っているのはあまり美味しい血ではなかった事、そして、組織の敵だという事。 「調子はいかがですか?」 いつからいたのか、そばに立つ黒服が口を開いた。 「早めに次の血が欲しいです」 少女は新たに身体を流れる血液が徐々にダメになっていくような感覚に顔をしかめながら、少女は言った。 少女は病気だった。目眩がした、動悸がした、血が止まらなくなった。病名、再生不良性貧血。少女は入院した。 効果の表れない薬。見つからないドナー。定期的な輸血。家計を圧迫する治療費。 『治療の必要の無い身体が欲しいですか?』 そこに組織の黒服は現れた。 そして少女は都市伝説「吸血鬼」と契約した。 頭痛がしない、目眩がしない、走り回っても大丈夫。それどころか、普通の人間以上の身体能力を手にいれた。 何故こんな素晴らしい組織と敵対する人がいるのか、少女には理解できなかった。もとより理解する気などなかったが。 吸血鬼となっても、病気が治った訳ではない。血が必要だった。輸血の代わりに、組織の敵を襲い、血を吸った。 いつしか、少女は組織の過激派の一員として有名になっていた。そんな事、少女にはどうでもよかったが。 「血を、血が必要なんです。次の任務、早く持ってきて下さい」 少女は恐れているのだ。再び、病室での生活に戻る事を。再び、あの不自由な身体に戻る事を。 そして、少女は気付かない。 吸血鬼と契約して数年。それほど大きく無い少女の容量、逆に容量を大きく喰らう都市伝説、長期に渡る能力の使用。 もはや、『人間だった頃の病気』など物ともしない身体になっている事に。身体を流れる血液が異常だという感覚など存在していない事に。 少女は今宵も気付かない。 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/381.html
ファンキーな口裂けさん 14 男「そういや外国にも都市伝説ってあるのか?」 メリー「たくさんありますデース」 口裂け女「へぇ、なんか一つ教えてよ」 メリー「んー、そうデスねー…トゥース・フェアリーなんてどうデースか?」 男「歯の妖精か…そういや聞いた事があるな」 メリー「抜けた乳歯を枕の下に置いとくとコインと交換してくれるデース」 口裂け女「へぇ、随分気前の言い都市伝説ね」 トンカラトン「繰り返すと金持ちになれるっスね」 口裂け女「そうだ、男ちょっとやってみ 男「断る」 ですよねー」 メリー「代わりにこの男さんの部屋で拾ったちぢれ毛なんてどうデース?」 男「そんなもん変態以外誰も交換してくれねーよ!ていうか部屋に勝手に入るな!!」 口裂け女「男のちぢれ毛…ゴクリ」 男「反応するな!!!!」 前ページ次ページ連載 - ファンキーな口裂けさん
https://w.atwiki.jp/legends/pages/809.html
警官A「あ~面倒臭ぇ」 警官B「アンタが街中であんな物ぶっ放すからでしょう・・・つか何で始末書一枚で済むんだ?普通捕まっても文句言えませんよ?」 警官A「んなもん、『ここが学校町だから』の一言で済むに決まってんだろうが」 警察B「今更ながらに何て町だ・・・orz」 警官A「『都市伝説対策課』なんてのを本気で作ろうとする様な奴まで居るくらいだからな・・・まぁ、俺も必要だとは思ってるけどよ」 警官B「はぁ?」 警官A「都市伝説かどうかは別だけどよ、この町は怪事件の数が多すぎる・・・しかも、おかしな事にな、ちゃんと調べると殆どの事件が噂があってから起こるんだよ」 警官B「・・・意味がわかんないんすけど」 警官A「普通、事件が起こって始めて噂になるだろう? この町は逆、『噂』が広まって、それから本当の『事件』になる・・・まぁ、事件が起こったらまた噂も広まるから誤解されやすいけどよ だから実際『都市伝説対策課』で無くともそういう『変な事件』を調べる為の部署は必要かもしんねぇ」 警官B「・・・何か気味が悪いですね」 警官A「だろ?噂には気をつけろよ?」 「はい、そこ無駄話してないでさっさと始末書を仕上げなさい」 背後から女性の声・・・若干怒ってるッぽい 警官A「別にコレ位良いだろ?そういうアンタも秋祭りの最終日仕事ほっぽり出して黒服の兄ちゃんとキャッキャウフフしてたって聞いたぞ?」 「アレも仕事の内ですしそもそも私と彼はそういう関係じゃありません、今度そんな事言って見なさい、訴えますよ?そして勝ちますよ?」 警官A「ハッ、この程度の事で訴えられるかな?」 「町で銃乱射したことを・・・なら?」 警官A「スンマセン、勘弁してください」(土下座) 「よろしい」 地に額こすり付けて懇願する先輩と、ソレを見下して笑う上司を前に 本気で転職を考える警官Bでした 終わっちまえ 前ページ次ページ連載 - はないちもんめ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1434.html
アンケートまとめ 避難所民その2 さんの場合 Q00. あなたは都市伝説を信じますか? 信じてます。楽しそうだし。 Q01. あなたはどんな都市伝説が好きですか? そんなもん美少女美幼女幸運関係に決まって(ry Q02. あなたがこのスレで好きな物語はなんですか? TさんとDさんと将門さん。 Tさんは本人チート気味の能力持ちなのに学校町のパワーバランスを崩してなかったり契約者とリカちゃんがかわいかったり、寺生まれってすげえ。いつか本気を見たい人その1。 契約者は最近急激に俺の中で嫁ランキングが上がってまいりました。(一位は花子さん。だって幼女は宝だろ?) Dさんはエロゲの主人公的な魅力を感じております。あなたになら掘られてもいい!! 最終的にDさんの人脈部隊vs組織とかになっても負ける気がしないあたりDさんすげえ・・・ 将門さんは子煩悩なのに萌えました。もうこのまま娘といい関係になればいいと思う。あと本気を見たい人その2。。 Q03. Q02.のどこが好きですか? あ、上に全部書いてしまった Q04. あなたがこのスレで好きなキャラクターは誰ですか? Q01.参照!! Q05. Q04.のどこが好きですか? 美少女美幼女は人類の宝だろ? Q06. あなたの契約したい都市伝説はなんですか? だから美少女美幼女だと何度言ったら(ry あ、ケサランパサランとかカーバンクルはほしい。悠々自適な人生送りたい Q07. あなたのフェティズムを教えてください。 ・・・尻、腰、髪でしょうか・・・ Q08. あなたの好きな曲を教えてください(ジャンルは自由です)。 90年代のJ-POPですかね Q09. 御感想、御意見など、御自由にどうぞ!! 皆文才あっていいなー、くれ!(無理) Q10. さっきからあなたの後ろにいる方はどなたですか? なに? ついに俺の所にも美少女美幼女が!? Q11. あなたは赤/好きですか? けっこう好き。でも緑の方がも~っとすきです!
https://w.atwiki.jp/legends/pages/487.html
…街中で、ポスターを貼っているあいつの姿を見かけた 正直、顔色はあまりよくない 相変わらず、あまり休んでいないのだろう 「よぅ」 「あ…あなたですか。最近、よく会いますね」 小さく、会釈してきた黒服 ぷるんっ、とのその拍子に胸が揺れて ……だから、そこを見つめてばっかりじゃ駄目だろ俺ぇえええええ!!! 「明日で、元に戻るんだったか?」 「はい。明日には、毒ガスの効果が抜け切るはずですから」 …あぁ、やっぱり勿体ねぇよなぁ… ……って、だからそうじゃなくて!! 「ご用件は、それを聞きにきただけですか?」 「いや、そうじゃねぇよ…」 手を差し出してやる 首を傾げてきた黒服に、続ける 「貸せよ、そのポスター。貼っていかないと駄目だんだろ?」 「……いえ。これは、私が頼まれた仕事ですから」 …頼まれた? こんな疲労困憊のこいつに、頼み事をしたと言うのか どこのどいつだ、そのやろうは!? この黒服は、頼み事を断るのが苦手だと言うのに! ムカムカしたものを抱えつつ、俺は手を引っ込めない 「お前一人でその量は大変だろ?半分くらい、俺が張ってきてやるから」 全部、と言ったら、こいつはきっとやらせてくれない さっき言ったとおり、自分が頼まれたから、といって引かないだろう …だから、半分だけ せめて、これだけは請け負いたい 「……それでは、お言葉に甘えましょうか」 苦笑して、ポスターを半分ほど、俺に手渡してきた黒服 それと、メモを渡された …何か、文字がぐっちゃぐちゃになってて読めない部分が大半なんだが… 「このメモの…ここから、下の部分。大体の住所しかわかりませんが、この辺りに張ってきてください」 「わかった。つか、メモ、俺に渡して、場所わからなくならないか?」 「メモの内容は暗記していますから、問題ありません」 記憶力も良くないと、黒服の仕事はやっていけないものなのだろう こともなげに、こいつはそう言って見せた …そうか、と頷く 「……なぁ」 「はい?」 「『夢の国』に対して、そっちの「組織」は、どう言う動きを?」 俺の、言葉に…黒服は、やや、悲しそうな表情を浮かべた こいつにとって、あまりいい内容ではなさそうだ 「…取り込まれた子供の身も、契約者の身も考えずに…相手の戦力を削る作戦が、つい先日、決行されたそうです…」 「………っ!」 …それは、つまり 「夢の国」に取り込まれている子供や、契約者が…一部、犠牲になったということか なんと言う、非道な作戦 将門様が知ったら、激怒するだろう …そして こいつは、その事実に悲しんでいる その作戦を、止められなかった己の無力さを…悔やんでいる あんな組織、さっさと抜けてしまえばいいのに こいつは、どこまでも、自分は「組織」の歯車であると言って、縛られ続けている …あんな組織、こいつには似合わないのに こいつは、それから離れることができない 「…胸糞悪ぃな」 「……同感です」 苦笑してくる黒服 力なく、首を振ってくる 「これが…組織、ですから」 「……………」 …こいつは 組織に不満を持ちながらも しかし、自分は組織の歯車だからと……組織から離れたら、生きられないと、そう考えて 組織から、離れることができないまま 俺は、こいつを組織から解放させてやりたいのに ……未だに、それができないままだ 「…しかし。これ以上、そんな事をさせる訳にはいきません…一人でも多く、「夢の国」の黒いパレードに取り込まれてしまっている子供たちを、救う事ができればいいのですが…」 「……無理、すんなよ?考えがあるなら、俺にも協力させてくれよ?」 今回の件について、ある程度「組織」と協力体制をとってもいいと、将門様から言われている 特に、この黒服に協力するのなら、文句は在るまい こいつは、俺たちにも、この危機を教えてくれたのだから 俺の言葉に、黒服はどこか自嘲気味に、笑ってきた 「…そう、ですね。その時が来たら…ご協力、願うかもしれません」 きっと、こいつは 己の無力さを嘆いているのだろう 自分には、戦う力がないと、嘆いているのだろう どうか、嘆かないでくれ あんたには、戦う力はないかもしれないけれど …俺は、そんなあんたに、救われたんだ 「…それでは、これで。……お願い、しますね」 「あぁ。任せろ」 黒服は、俺に小さく頭を下げてきて そして、少しふらつきながら、この場を後にする …くぉら、周りの男共 あの胸に見とれてんじゃねぇ!! いや、俺だって、うっかり胸に注目しちまったけど!! 後半、わりと頑張って見てなかったんだぞ、こら あれに触りたい誘惑は、最後の最後まで堪えたんだ!! だから見るんじゃねぇえええ!!!!!! 黒服の胸に見とれてやがった野郎共を、威嚇してから 俺は、ポスターを張りに行こうと歩き出し… 「………げ」 「………」 …小さな、餓鬼が こっちを見ている事に、気付いた 以前、顔をあせた事がある、少女 「…また会ったな」 「…………」 向こうは、ぷい、とそっぽを向いてきた なんだ、俺とは会話もしたくないってか? どうやら、黒服が、今、気にかけているらしい少女 多分、契約者で……あまり、恵まれた環境にいるのでは、ないのだろう だから、あいつが気にかけている …そして 多分、以前会った時の態度から、するに こいつも、あの黒服の事を、少しは気にかけている ……それなら この話を持ちかける価値は、あるかもしれない 「……お前、あいつのこと、心配か?」 「え?」 「それと……お前は、「組織」の一員か?」 俺の、その質問に こいつは、前半には答えてこず、後の方にだけ答えてきた 「…あんな組織、できれば関わりあいたくもないわよ」 「………そうか」 良かった こいつは、組織の一員ではないのか それなら…話しても、いいだろう 「…あの黒服が心配なら、ちょっとついて来い。話がある」 「……?どういう事よ」 「いいから」 そう言って、俺はさっさと歩き出す 少し迷ったようだったが…そいつは、俺の後をついてきた やっぱり、あいつの事が心配だったようだ なら……俺と、同じだ ひとまずは、このポスターをある程度貼っていかないと 安心して話せる場所を探しながら、俺はポスターを張って回る事にした …そして 結局行き着いたのは、カラオケ店 態度の悪い店員が一人きりで、管理なんぞおろそかな店 多少、客の組み合わせがおかしくとも、店員は何も言ってこない だから、俺たち「首塚」組織の面子で、たまに会議とかに使っている店だ 入っても、歌う訳じゃなく、相談しあったり、近況を話し合ったりするのによく使っているのだ 適当な部屋を取って入り…話を切り出す 「…ぶっちゃけて言う。俺は、あの黒服を組織から解放したい」 「……解放?」 「あぁ」 そうだ 解放してやりたいのだ あの黒服は、あの組織に相応しくない …いや、違う、逆だ あの組織が、あの黒服に相応しくないのだ あいつは優しいから、慈悲深いから …あんな非道な組織、あいつに相応しくない それに… 「解放はできなくとも……もし、万が一。あいつが組織に消されそうになった時、助けたいと思っている……あいつは、組織に消されかねない行動もとっている。お前も、それはわかってるだろ?」 「…………」 少女は、俺の言葉に俯いてきた 多分、わかっているのだろう あいつが、そんな行動も取っている事に かなりの数の都市伝説や契約者を見逃し、時には庇っている事を 「…方法が、あるというの?そんな時、黒服を助ける方法が」 「ある」 きっぱりと、俺は答える …やっと、一つ見つけたのだ その、方法を 「あいつは、「組織」の黒服だ。「組織」に不要だと判断されたら、その時点で消えかねない。ここまでは、わかるな?」 「………」 「そうなっちまうのは、あいつが「組織」の黒服だから…「組織」と言う都市伝説の、一部だからだ」 「組織」 それは、都市伝説 そして、黒服は都市伝説の、一部 「つまり、あいつも「都市伝説」である事に、変わりはない。どれだけ、人の心を残していても、あいつは「都市伝説」なんだよ」 「…何が言いたいの?」 「つまりだ……あいつだって、都市伝説なんだから。人間と、契約できるはずなんだよ」 ぴくり こちらの言葉に、少女は反応した はっとしたように、顔をあげる 「ぶっちゃけ、「組織」の実態自体は、構成員すら知らないって言われているらしいな。「組織」の首領が、「組織」と言う都市伝説と契約しているのか、そもそも、バカデカイ野良都市伝説なのか、その辺りは、よくわからねぇが……少なくとも、黒服たち事態、都市伝説なんだ。契約は可能なはずだ」 「…つまり…黒服と、契約すれば……黒服が、「組織」に不要だと、判断されても……消滅しないかも、しれない。そう言う事?」 お、頭の回転の早いお子様だ そうなれば、話は早い 「そうだ、だから…俺は、あいつと契約したいと思っている」 「…………」 こちらの言葉に、むっとしてくる少女 だが、無視して俺は続ける 「だから、お前も協力しろ」 「…なんで、私があんたなんかが、あの黒服と契約する手伝いを…」 「お前も、あいつと契約してくれ」 ……… …………… 「え?」 俺の言葉に 少女は、きょとん、としてくる 「…私、も?」 「あぁ…ぶっちゃけ、俺一人があいつと契約しようとしたら、絶対、あいつに反対される…属性が違いすぎる多重契約は危険だ、って言われてな」 そうだ きっと、あいつは反対してくる 多重契約して、都市伝説に飲み込まれやすくなる事を心配して 絶対に、反対してくるに決まっている …だから 「多分、お前が一人で、あいつと契約するといっても、それは同じ結果になる。反対してくるはずだ…だが、俺とお前。二人であいつと契約するなら、問題ないはずだ」 「………ストップ」 何だよ 調子よく話しているのに 「…一つの都市伝説が、多人数と契約なんて、できるの?」 「半分、裏技みたいなもんだがな。可能だぜ」 それは、確かである はるか昔、復讐のために、2,3人の男が将門様と契約した事があったらしい 一人だったら、将門様の強大すぎる力に、あっと言う間に飲み込まれる だが、それを複数で分担して背負えば…ある程度は、耐えられたらしい そうやって、その男たちは将門様の力を借りて、復讐した 「ほぼ同時に契約を結べば、それは可能だ。そして、それなら…多重契約でも、都市伝説に飲み込まれるリスクは下がる」 それなら あいつは、承諾してくれるかもしれない 俺は、それに賭けたいのだ 「俺一人が申し出ても無理だ。でも、お前も一緒に申し出れば、あいつは承諾してくれるかもしれない」 「………」 「今すぐ、返事をしろとは言わねぇ。俺の携帯の番号教えとくから、答えが決まったら返事しろ」 そう言って、紙に俺の携帯の番号を書いて手渡す …悩んでいたようだったが、こいつはそれを受け取った 「…あ、それと。抜け駆けすんなよ!?俺は、あいつと契約して、あいつの力になりたいんだ。他の奴を割り込ませるなよ!?」 「……わかってるわよ」 やや不機嫌そうに、少女はそう言って来た 今日は、ここで別れる 返事は出来るだけ早く、とだけ言っておいた …そうだ これが、俺が見つけた答え あの黒服を、助ける方法 これしか、見つけられなかった そして、この唯一の方法は…俺一人では、実行できない だから、必要だったのだ 俺のように、あの黒服を心配しているであろう…気にかけているであろう、奴が 俺にとって、あの黒服は父親のようなものだ あの少女にとって、あの黒服がどんな存在かは、わからないが…気にかけているのは、心配しているのは、きっと事実 だから、その唯一をあいつにも話した あいつが話に乗ってくれれば、俺は黒服を助けられる 乗ってこなかったら… その時は、他に話に乗ってくれそうな奴を見つけ出すか これが唯一であると諦めず…他の方法を探すかだ 「…絶対に、あいつを……俺たちのものに、してやる」 二人がかりで説得すれば、きっと大丈夫だ 絶対に、諦めない あいつから預かったポスターを抱えながら 俺は、その決意をしっかりと抱えるのだった to be …? 前ページ次ページ連載 - 首塚
https://w.atwiki.jp/legends/pages/854.html
花子様たちと合流した時には、そちらの戦いも終わっていた …まぁ、俺達が駆けつけた時、花子様はその契約者にお姫様抱っこされているような状態になっていて 俺達が駆けつけたことを確認した瞬間、盛大にその契約者を花子様が殴り飛ばして踏んでいたのが、印象的と言えば印象的だが えーと、何これ、生ツンデレ? っつか、あれだ 花子様がその契約者を軽く踏んでいる様子を見ていると、なぜかお袋に土下座している親父を思い出して困る 「…そうか、マスコットたちはそんな状態だったのか…」 「みたいだな。全部のマスコットがそうだったかどうかは、知らないが…」 祭のスピーカーが、戦いの終わりを告げている …終わったのだ 後は、細々とパレードとかが残っているかもしれないが そこら辺は、見つけ次第、撃破すればいいのだろう ………仕方ない、のだろうか 撃破する以外に、元に戻してやれる方法はないのだろうか? だが、その方法がわからない以上…一度、壊してやるしかないのだ そう考えると、やりきれない 「みー?…みんな、だいじょーぶ?」 じ、と 花子さんが、俺たちを見上げてくる 俺は若干落ち込み気味だし、花子様とその契約者は、大分体力を消耗しているようだ 心配してくれているのだろう なんでもない、と俺は無理に笑って見せた 「…さ、戻るか、花子さん」 「うん」 「あ、その前に」 す、と 花子様が、携帯電話を出してきた …あ、そうだ 携帯の赤外線通信使って、番号の交換をするんだったか それを思い出し、俺は携帯を取り出して… ………… さて 「どうしたのよ?」 なかなか、携帯を差し出さない俺の様子に、花子様が怪訝な表情を浮かべてきた あー……あれだ 若干、情けないのだが 「…赤外線通信って、どうやるんだ?」 「え?」 花子様が、きょとん、としてくる み?と花子さんも首を傾げてきた 「やった事ないのか?」 「あぁ」 花子様の契約者の問いかけに、情けなさを感じつつ、俺は頷いた うん、その 俺が携帯を手に入れたのは、高校に入ってから そして、中学時代に携帯もっていた友人の番号は、前もって聞いていたから、自分で入力していた …高校に入ってからの、新しい友達? っは、いねぇよ、そんなもん でもって、不良教師とか、闇子さんの契約者の小学生の携帯番号だが…こちらは、紙に書いたり口頭で伝え合ったりしたから、赤外線通信なんてもんはやった事ない 携帯って、あれだ 普段使わない機能とか、咄嗟に使おうとすると使えないよな あれだ、携帯の説明書とか引っ張り出してこないとわからないよな畜生!! 「…すいません。やりかた、教えてもらえます」 「…し、仕方ないわね、教えてあげるわ」 ふふん、と笑って、何とも丁寧に赤外線通信のやり方を教えてくれた花子様 …結構、親切な人(都市伝説)のようだ まぁ、大元は花子さんと一緒のはずだし… ……… あぁ、いや 「トイレの花子さん」と言う都市伝説は数が多すぎて、姿かたち性格、同じ傾向にあるとは限らないのだった まぁ、でも……この人だって、契約者の為に、戦ったのだろう だから、悪い都市伝説ではないはずだ …っふ、と脳裏に浮かんだのは 以前戦った赤いちゃんちゃんこと、その契約者 無理矢理に契約を結ばされていた存在 無理矢理に契約を結んでいた都市伝説 契約者つきの都市伝説には、悪い存在はいないんじゃないか 都市伝説と契約した奴に、悪い奴はいないんじゃないだろうか …そんな、俺の甘ったるい考えを、打ち破ってきた相手 だが この二人は違う そんな、悪い存在じゃない いや、俺なんてまだガキだから、善とか悪とか、そこら辺の違いを述べよ、とか条件を述べよ、とか言われても、答えられない …だが、これだけは、言い切れるのだ この2人は、間違っても「悪」なんて存在じゃない いい連中なのだ 「…よし、交換完了ね」 赤外線通信による、番号の交換、終了 なるほど、こうやるのか …でも、多分、しばらくやってなかったら、忘れるのだろうな 「……じゃあ、俺はこれで。2人とも疲れてるみたい、今夜はゆっくり休んだ方がいいと思う」 「言われなくてもそうするわ」 へとへとだもの、と笑ってくる花子様 その契約者も、同じ心境のようだ …こちらも、疲れている 花子さんが作ってくれた、水の武器 あれは、俺がある程度意識していない限り、形を保てないようだった 体力的な疲労よりも、精神的な疲労が、どっと俺に押し寄せる あぁ、お袋たちを心配させてちゃいけないし…帰らないと 「じゃあ、さよなら」 「ばいばいなの」 ぶんぶん 無邪気に手を振る花子さん 花子様も、軽く手を振ってきてくれた 「帰るわよ、駄犬。幸い、今日一日で戦いは終わったし、秋祭りは明日もある…明日こそ、昨日回れなかった屋台を見て回るわよ」 「はいっ!花子様!」 別々の道を進んでいく俺達 空には、ぽっかりと満月が浮かんでいる …終わったんだな、と 感慨深く歩いていた俺だが 「………あ」 「み?」 「…あ、いや、何でもない」 …うん 「お化け屋敷」は、まだ入ってないならやめといたほうがいい、と そう、二人に言い忘れたが… まぁいいか、と判断して、俺は花子さんと手を繋いで帰っていくのだった fin 前ページ次ページ連載 - 花子さんと契約した男の話